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【ウェディングストーリー】世界の片隅を灯す愛

投稿日:2017年1月22日 更新日:

参加者は親族のみでたったの「9名」。
翼さんと尚美さんが迎える結婚式は、両家初めての顔合わせでもあるのだとか。
ウェディングプランナーとして、二人のために提案できる最高の演出とは何か・・・・・・。
ウェディングプランナー陽子が考えた演出とは一体!?

 

新婦側、出席者4名。新郎側、出席者3名。新郎新婦を合わせて計9名。

これが、ウェディングプランナー2年目の陽子が本日担当する結婚式の全列席者。

こぢんまりとしつつも上品さに包まれた部屋に全員が会し、中央に置かれた大きなテーブルを挟んで向かい合って座っている。そしてお誕生日席には、新郎新婦が仲良く肩を並べている。

陽子の今日の結婚式での役割は「何もしない」こと。決して怠けているわけではない。全部で9名の結婚式。他人の陽子が目立てば気を遣わせてしまうだろうというプランナーとしての配慮だ。

「友人たちとは、カジュアルなお披露目パーティーをしたいと思うんです。なので、結婚式は本当に家族だけでしたいなと思ってるんですけど……」。

半年前、会場見学を終えた後の相談会で、新郎・翼が陽子の前で不安そうにこう話した。

「最近は、家族だけで式を挙げられる方もたくさんいらっしゃいますよ」。

穏やかな笑顔を見せて、陽子が答える。小さく息を吐いて、新婦・尚美が歯切れが悪そうにこう続けた。

「それが……、私たちを入れて9名なんです。」

話を聞くと、翼は秋田の出身で尚美の出身は香川。互いの家族をどちらかに呼ぶには負担が大きく、中間地点である東京に集まってもらいたいと考えていること。距離の問題から顔合わせ食事会も実現していないので、結婚式は顔合わせも兼ねているということ。

「この先、お互いの家族が集まる機会もそんなにないと思うんです」。

ふたりの願いは、結婚式で互いの家族同士の交流を深めることだった。離れて暮らしているからこそ、しっかりとした絆で結ばれたいと話してくれた。

「9名か……」。

その日の夜、陽子はお風呂につかりながら、翼と尚美のことを考えていた。最近は家族だけで式を挙げるカップルが多いと伝えたものの、9名は想像以上に少ない人数だった。ふたりの気持ちは聞いたものの、結局相談会の中では具体的な提案をすることができず、こうして湯船の中で悶々としている。ウェディングプランナー2年目の陽子にとっては、少しハードルの高いテーマだった。

「結婚式って、なんのために挙げるんだっけ」。

鼻まで湯船に浸かり、口先を尖らせて勢いよく息を吐く。ボコボコっと音を立てて目の前に泡ができる。

陽子は今まで担当した数々の結婚式を思い出していた。脳裏には、新郎新婦、その家族やゲスト達の幸せそうな笑顔が浮かんでくる。そしてそのどれもが、多くのゲストに囲まれている。それが9名となると、どんな雰囲気になるんだろう……。

「私だったら……私だったら……」。

人を喜ばせたい時は、まず相手のことを十二分に理解することから。これは、陽子がウェディングプラナーとして心がけてきた姿勢。

相手を理解するために、まずは相手の立場に立って物事を考えてみる。そしてこれは、たくさんのカップルとの打ち合わせを積み重ねてきた中で自然と身についたワザだった。

お風呂から上がり、濡れた髪を乾かしながらも、陽子はまだ9名での結婚式について考えていた。そして髪を乾かし切った後、陽子は意を決して、尚美がプロフィール欄に記入していたアドレス宛に一通のメールを送った。

「おふたりの家のご縁が結ばれ、新しい家族が誕生する。
そんな瞬間が実感できる結婚式を、一緒につくりましょう!」

尚美から賛同と共に喜びの声が盛り込まれた返事をもらうまでに、時間はそうかからなかった。

そして今、互いの家族が結婚式と初めての対面の日を同時に迎えている。

 

「新しい家族が始まる1日を“真っ白”な気持ちで迎えよう」

そう願いを込めて、出席者のドレスコードは全身白。白であれば、きれい目な平服でも良しとした。新婦・尚子の母親は上下セットになった白のツイードスーツ。父はレンタルした白のスーツで、ジャケットの代わりにベストを羽織り、香川県から出てきた田舎のおじさんとはかけ離れた、少しこなれた雰囲気を醸し出している。新婦尚子の2人の妹は丈が長めの白のワンピースを着用し、それぞれアクセントとして付けたパールのネックレスとイヤリングがよく似合っている。

一方、新郎・翼の母親はシフォンが軽やかに揺れる白のティアードワンピ―ス、父親は尚美の父親と同様に白のスーツだが、こちらはサスペンダーをアクセントとして利用している。翼とウリふたつの3歳違いの弟は、白シャツに白のハーフパンツで今風だ。

そしてもちろん、新郎新婦の翼と尚美も全身白。部屋中が白で包まれ、9名と少数ながらに、独特で強いオーラが放たれている。

「真っ白ですね」。

「ええ、真っ白ですね」。

笑いながらも、親同士はまんざらでもなさそうだ。

ドレスコードを“全身白”にしようというのは、ウェディングプランナー陽子のアイデア。白は「始まり」や「祝福」の意味を持つ色。初めて顔を合わせた家族同士に、なるべく早く打ち解けてほしい。そんな思いからの提案だったが、翼と尚美は喜んでそのアイデアを受け入れてくれた。

「あら、香川のうどんを使ったメニューがある!」

「私たちも、秋田のきりたんぽを食べるのは初めてです」。

「メニューに互いの地元の料理を盛り込む」。それも陽子からふたりへ提案し、料理長に掛け合って実現することができた。式で出される料理のメニュー表を見た家族から、陽子が意図していた通りの会話に、喜びでついつい頬がゆるんでしまう。

料理をきっかけに、互いの地元自慢の話しで会話に花が咲いている。それはまるで結婚式というよりも、ある家族の食卓のワンシーンのようだ。特別なプログラムは特に準備していないにも関わらず、“家族にとっては特別な料理”が運ばれるにつれて、会話も盛り上がっていく。

世界5

「家同士のご縁が結ばれ、新しい家族が誕生する」

少し離れた場所から9名の様子を見ていた陽子の頭には、今まで何度も繰り返し唱えてきた今日という日のテーマが浮かぶ。

そして陽子は、新しい家族の誕生をその目で確かに確認した。それはまるで、世界の片隅が暖かな光で灯されているような光景だった。

「結婚式って、なんのために挙げるんだっけ」。

この問いに対する答えが1つではないことを、今回のふたりの式を通して陽子は知ることができた。カップルの数だけ、答えがあるのだ。

「だから私のやるべきことは、世界の片隅を照らす愛情に包まれたカップルと家族を少しでも増やすこと」。この日をきっかけに、陽子はウェディングプランナーとして新しい目標を追いかけていくことを決意した。

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