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【ウェディングストーリー】「こんなの初めて!」がいっぱいのご当地ウェディング

投稿日:2017年1月21日 更新日:

子供の頃に見た、近所のお姉さんの結婚祝いでやっていたお菓子を使った演出・・・・・・。
生まれ育った故郷ならではの、夢が詰まった演出を自分の結婚式でもやりたい。
そんな新婦の思いを叶えるため、一人のウェディングプランナーが動き出します・・・・・・。

 

子供の頃に見た、近所のお姉さんの結婚祝いでやっていたお菓子を使った演出……。
生まれ育った故郷ならではの、夢が詰まった演出を自分の結婚式でもやりたい。
そんな新婦の思いを叶えるため、一人のウェディングプランナーが動き出します……。

「名古屋っぽい結婚式って、できますか?」

今回新しく担当することになったカップルは、新郎の優さんが長野県出身で、新婦の景子さんは愛知県出身。名古屋の大学で出会い、名古屋で生活をしていくと決めた二人は、結婚式も名古屋で挙げることを選択した。結婚式には、長野に住む優さんの家族はもちろん、友人たちも列席するようで、名古屋の紹介にもなるような演出を取り入れることを希望している。

「特に、おじいちゃんとおばあちゃんには、名古屋のこと好きになってほしいんですよね」。

優さんはもともと、大学を卒業したら地元の長野に戻る予定だったらしい。それが景子さんとの出会いもあり、就職先も名古屋の方が多いことから、そのまま名古屋に戻ることに決めたそうだ。そんな優さんのことをいつも応援してくれていたのが、長野に住む祖父母だった。

初孫ということもあり、優さんは特別可愛がられてきたらしい。名古屋に住むと決めた時には少し寂しそうな顔を見せたが、それでも、「優が言うなら」と笑顔で送り出してくれたそうだ。

そんなふたりを名古屋らしい結婚式に招待することで、「名古屋っていいところなんだよ」と伝えることができればというのも優さんの願いだった。

 

(どんな演出が名古屋らしくて、皆が喜んでくれるだろう……)

その日の夜。シャワーを終えてひと息つきながら、私は幼かった頃のことを思い出していた。

名古屋の結婚式と言われて、すぐに思い浮かんだのか「菓子まき」。

近所のお姉さんが結婚すると決まったとき、結婚式当日に自宅の2階から菓子まきをしていたのだ。

(確かあの菓子まきって、名古屋の風習だったような……)

調べてみると、菓子まきはもともと全国にある風習だったそうだが、今では名古屋をはじめとする愛知県や福井県でよく見られる演出となっているそうだ。伝統的な方法は、結婚式当日に花嫁が実家を出る時、親族が屋根や2階から大量に駄菓子を撒くというもの。そしてばら撒かれたお菓子は、近所の人が自由に拾っていいシステムだ。

「あの時の菓子まき、すごい楽しかったなぁ」。

幼かった私は菓子まきの意味なんてもちろん知らなかったが、空から降ってくるお菓子を夢中になって集めた記憶がある。

今ではほとんど見ることのなくなった光景だが、名古屋らしい演出として取り入れるにはぴったりのではないだろうか。そしてあの菓子まきなら、小さい子どもから年配の方まで、誰でも楽しむことができる。

そして私が勤めている結婚式場にはガーデンがある……。

さらに二階にはバルコニーがある……。

(これは、菓子まきをやるしかない……!)

迷うことなくすぐに気持ちが固まった私は、次の打ち合わせで早速ふたりに提案してみた。私が子どもの頃に参加した菓子まきのエピソードも交えながら、きっとゲストに喜んでもらえるはずだと力説した。

「お二人もきっと楽しいですし、長野から来られるゲストの皆さんにとってはとても新鮮な演出になると思います。そして名古屋からのゲストの皆さんにとっても、懐かしむ方もいれば初めての経験となる方もいて、きっとどなた様にも楽しんでいただけると思います!」

ついつい力が入ってしまった私に二人は少し圧倒されながらも「それ、やりたいです!」と即答、快諾してくれた。

幼い頃体験した菓子まきの楽しさを思い出し、それを再度実現できることが嬉しくて、私はついついニヤけてしまう。

(でも、せっかくならば愛知県の方にも長野県のことを知ってもらう演出を取り入れたほうが、もっと盛り上がるんじゃないかな……)

そう思った私は、その場でふたりに提案した。するとふたりとも大賛成で、さっそくどんな演出を取り入れるか相談を始めた。

「そうだ! テーブルサービスで、長野県と愛知県の特産品を配るというのはどうですか?」

ちょうどその頃、私たちはテーブルサービスを何にしようかについても考えていたタイミングだった。キャンドルサービスやルミファンタジアなど、定番のバリエーションはいくつかあるが、ふたりはみんなとは少し違うものを取り入れたいと話していた。

それなら!と神様からの贈り物のように、急にご当地ギフトサービスのアイデアが浮かんだ。それに披露宴の時間はだいたい2時間半。その中でお色直しも行うとなるとあっと言う間に終えてしまうから、せっかく遠くから来てもらうのに主役とあまり話ができないのは寂しいなとも思っていた。

テーブルサービス中にひとりひとりとゆっくり話をすることができなくても、アイデアを光らせた特産品を配ることで「ありがとう!」の感謝の気持ちはきっと伝わる。そして何より、優さんと景子さんらしい結婚式になる。

私の考えをふたりはすぐに気に入ってくれて、長野からのゲストにはミニういろう、愛知からのゲストにはりんごジュースをそれぞれプレゼントすることに決めた。

(菓子まきした後、ミニういろうにりんごジュースか……どうしよう、最高に楽しそう!!)

気づけば私は、プランナーという立場を超えて純粋な気持ちでふたりの結婚式が楽しみで仕方なくなっていた。

「こっちにも投げてー!」

「やったー! 袋がいっぱいになったー!」

「もっと欲しい!」

結婚式当日、式場の中にあるガーデンは、夢中でお菓子を拾うゲストで賑わっていた。長野から来たゲストはもちろんのこと、愛知から来たゲストも「こんなの初めて!」ととても喜んでいる。

そして小さい子どもだけでなく、年配のゲストや両家の親族も、空から降ってくるお菓子を必死で集めている。スタッフも思わず参加したくなってしまうくらい、ゲスト全員がとても楽しそうにしていた。

そして二人も2階のバルコニーから皆が必死でお菓子を求めるのを面白がっていて、後から話を聞くと、皆の顔や様子を見ているのが本当に楽かったと喜んでいた。

「大人買いした」と嬉しそうに話してくれた駄菓子はあっという間になくなり、多くのゲストが袋いっぱいのお菓子を手にとても満足そうな笑顔を見せていた。

ご当地4

そして披露宴では、お待ちかねのご当地テーブルサービスが始まった。

お色直しを終えた優さんと景子さんが、それぞれの手に持ったかごにミニういろうとりんごジュースを持って登場する。そしてテーブルを一つ一つ周り、ゲスト一人一人にご当地ギフトを手渡していく。二人にゆかりのある地のプレゼントを受け取ったゲストは誰もが嬉しそうで、会場中がアットホームな雰囲気に包まれた。

「今日は遠くからありがとね」。

長野から来てくれた祖父母と久しぶりの面会を果たした優さん。そう言って二人にミニういろうを手渡すと、祖父母は顔をくしゃくしゃにして嬉しそうに受け取り、心の底から喜んでいる様子が伝わった。

(やっぱり、このテーブルサービスにして良かったな)

遠くから二人と祖父母のやりとりを見ていた私は、「ありがとう」が確かに伝わった瞬間を確認することができた。

「名古屋っぽい結婚式って、できますか?」

そんなひと言から始まった、二人の結婚式のお手伝い。最終的には、名古屋だけでなくそれぞれの地域を生かした結婚式が実現した。

新郎新婦と一緒に創り上げた結婚式。お互いに刺激を受けあって、最初からは想像ができなかったようなカタチができあがる。そして毎回、新郎新婦や家族、ゲストとの温かい絆に感動せずにはいられない。

(今回も、ウェディングプランナー冥利に尽きる結婚式だった)

式を終えたその日の夜、私自身もとても満たされた気持ちで眠りについた。

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marrial編集部

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